「うーん」
レイルはレールガンを見ながら唸っていた。
「どうしたの?」
ハヅキが話しかける。
「いやね、なんかこれって壊したりする以外にも使えるみたいなんだよね」
「壊したりする以外?」
「うん…なんかよくわかんないんだけど…相手に対してそれぞれで効果が変わるみたい。でかいゴリラとやりあった時があるんだけど…その時は元の人間の姿に戻ったんだよ。元人間のゴリラだなんて知らなかったけど。」
「うーん…じゃあ色々試してみる?」
いきなりレールガン女子高生ヴァーサス
第二九話
「可能範囲」
それからレイルは色んなものに射撃し実験を開始した。
「うわ~、あんな大きいのがふわふわ浮くなんて!」
撃ち抜かれた大岩はぷかぷかと重力を感じさせず浮いている。
「ん…。」
さらに近くの岩も射抜く。これもまた浮き上がる。
他の岩を射抜く。これは粉々に粉砕された。
「ん…!」
「あれ?あれは壊れたね」
「これ、たぶん私の感覚が関係してる。」
レイルはぼんやりとレールガンの効果に自分の意識が関係してることに気がつく。
「撃ったら浮かないかな?って思いながらやってみたら浮いたし、壊れないかな?と思ったら壊れた。とりあえず問題を解決しようっていう考えが、相手によって自動的に効果がバラける理由だったのかも」
「えっ、それってもしかして何でも出来ちゃうんじゃ…?」
驚嘆の声を漏らすハヅキ。レイルは続けざまに浮いている岩を再び撃ち抜いた。
「おー、出来た。」
岩はたちまち高速回転を初めた。
「すごい…。」
「じゃあ元に戻そっか。」
2つの岩を再び撃つ。元の動かぬ存在に戻る。
「これは?」
砕けた岩のあたりも撃つ。これは変化なし。
「ん…元に治せないのかな…。」
少し落胆。
「あ、あのさ…生きてるのに撃ったらどうなるかもっと気になるんだけど…。」
「うっ、あぶないよその考え…」
レイルは病気の人を治したりとか出来るのではないかと考えた。
「ちょうどあそこにちょっと怪我した豚さんがいるよ」
「ええっ!?ちょ、ちょっとレイル!」
怪しい表情で射撃!!射抜かれる豚!そして!!
「ぶひぃ~」
怪我が治った。
「ええ~…」
「ふんふん。たぶん死体とか重傷者はダメなやつだね。…病気もかな?単純に壊すほうが得意な感じかな」
ぼんやりと、感覚で実現可能な範囲が分かっていく。
「ハヅキ、ちょっと身体ケガしたらこれで治してあげるよ」
じゃき、とレールガンを構える。
「え、ええ…え、遠慮しておくかな…」
「…怖いよねやっぱ。」
「まあ基本的には「問題を解決する」って考えで撃てば後は勝手になんとかなるかなあ」
「も~、レイルはすぐ適当にしようとするんだから」
二人の女子高生は実験を終え、去っていった。そして…。
「観測完了。」
レイル
ものぐさな自分にはちょうどいい性質だなと思っている。
ハヅキ
自分もこういう力があればなと思っている。
豚
ぶひひひ。 ぶひひひひ。 ぶひ!! ひっひっ!!