「………。」
レイルは自分の部屋の窓に映る景色をぼんやりと眺めていた。
虹色の幻想的なオーロラのような何かが流れていく。宇宙の狭間の景色だ。
「父さん、母さん…」
今の状態への慣れ、ハヅキと出会い、それらによって彼女の心には余裕が生まれていた。だが、その余裕は暗い考えも呼んできた。
「セレン…。」
帰りたいという気持ちをもはや押し込むことが出来なくなっていた。
「ハヅキ…ハヅキは家に、帰りたい?」
「え?」
部屋から出たレイルはリビングにいたハヅキに尋ねた。
「私も…帰りたい…よ?」
彼女はレイルの顔色を見ると寂しそうにそう返した。
「レイルも、家に大事な人がいるん…だよね?」
「うん…。親もきっと迷惑してるし…友達と遊ぼうって約束したままなんだ…」
不安の一部を吐露したレイルは椅子に座って項垂れる。
「私もね…ほんとはすぐ帰るつもりだったんだ」
ハヅキも不安を話し始める。複雑そうな顔を見せ。
「家…に待ってる子がいるの。お姉ちゃん達は一緒にいるけど…きっと私の事待ってる」
「ハヅキ、お姉さんがいるんだ」
「うん…」
彼女は悲しそうに語った。目を伏せて、申し訳なさそうにもした。
「ハヅキ…」
レイルは立ち上がる。
「きっと帰ろう」
力強くそう言おうとした。だが彼女の目から涙が流れてきた。
「ぜったい…いえに…」
流れ落ちる涙を止めようとするが、抑える事はできず、彼女は崩れ落ちそうになった。
「レイル」
そんな彼女をハヅキは抱きとめた。
「ハヅキ…?」
「いいんだよ、泣いても」
優しい声をかけられたレイルから涙が溢れ出る。
「うあぁ…っ!」
ハヅキの胸の中で泣き続けた。
背中をさすられ、優しさの中に包まれる内にレイルはあることを感じる。
(―――お母さん…?)
子供を穏やかにあやす、母親のようだと。
レイル
家のまだ食べてないプリンが気になってしょうがない。
ハヅキ
そのまま寝かしつけそうになった。