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まあ、倉庫っていうやつです。

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【三八話】いきなりレールガン女子高生ヴァーサス

「こちらからの指示を確認する」
「はい」
 研究所の一室内、ヴェクターは一人の天使と向き合っていた。その天使は黒衣を纏い、フードの影に隠れた顔をフェイスガードで覆っている。その姿は死神の様でもあった。
「レールガン女子高生および、謎の人物ハヅキの観測、解析。 レールガン女子高生が暴走する可能性にも気を配れ」
「……了解」
「では、任務を開始しろ」
 ヴェクターは背中を向け、退室して行く。残った黒い天使は振り返る。
「そろそろ出てこい」
 視線の先、誰もいなかった筈の場所にハービィが現れた。
「リーパー、データならもう既にありますよね?レイルは……」
「足りない、ヴェクターの機器を使ったより詳細な情報が必要だ。それに、レールガン女子高生はもちろん気になるが」
「……ハヅキも、普通に化身だってわかっているでしょう。本人が気が付かないまま生み出すなんて事例は今までも見てきたじゃないですか」
「嫌な可能性から目を背けるのはやめろ、ハヅキは明らかに不自然だ。なぜ本体の側にいながら"元気"がない?普通なら無意識に供給が行われるはずだ」
「……確かに、不可解です、が……」
「別に彼女を黒と見たいわけじゃない。ただ、今回のデータで何かを知りたいだけだ」
「……じゃあ、素直に最初からこっちに言ってくださいよ……私からヴェクターちゃんに指示したのに……」
「黒の天使のリーダーからこっそりと指示されれば、うっかり屋なあいつも人にバラす事はないと思ってな。まんまと便乗させてもらった」
「も~……」
 顔を膨らませるハービィを見てリーパーはほくそ笑んだ。


いきなりレールガン女子高生ヴァーサス
第三八話

「目指すべき軌道」ヴェクター


さて、今回はこの穏やかな村から物語を始めよう!!
平原に存在する平和なこの村…だが、魔の手が迫っていた!
「大変じゃあ!!」
慌てて村へと戻ってきた老人!どうしたというのか!
「ど、どうしたんですか!?ボルヘイノブラゴニギアスおじいさん!」
「ああ!ジャビワッチドゴスボラノオフ君!!それがな!!」
「それが!?」
それが!?
「野良戦闘機の群れじゃあ!!」
「なんですって!?」
野良戦闘機!?


自然豊かな穏やかな景色。そんな場所にVTOLが降り立った!
「わ~、いいところだね」
レールガン女子高生、レイル!
「空気が綺麗っていうのかな、気持ちいいね!」
二丁拳銃女子高生、ハヅキ!
「広すぎて落ち着きません……」
大型個人兵装天使、ヴェクター!
今回は三人だぞ!
「あの、地理と任務内容を確認してブリーフィングを行うべきだと思うのですが」
「ブリーフ? ここにいる悪い敵をやっつければいいんでしょ?」
ヴェクターはまじめに進言した。その時!ハヅキが叫ぶ!
「二人とも! あっちで煙が上がってるよ!」
「うわっ! 急ごう!!」
「あの」
三人は現場に向かった!


村が野良戦闘機たちに爆撃されていた!!
「何あれ!? なんか小さい戦闘機が村を襲ってる!!」
「戦争かなんか!?」
女子高生二人は異様な光景にびっくり!
「あれらは無人機のようです」
ヴェクターが解析!
「なんとかしないと!!」
「私の兵装なら容易に殲滅可能です」
「ほんと?」
ヴェクターは大掛かりなマシンに乗り込んでいてすごいのだ!
各部ハッチが展開!ミサイル弾頭が露出!
「おー」
それらを射出!!次々と敵機群へ殺到!!
回避運動を行うが、尽くに着弾!!無残に撃墜されてゆく!
「おおー」
「すごい…。」
「反応無し、殲滅完了」
とりあえず全滅させたぞ!
「ヴェクターさん、それ乗ったままだと警戒されるんじゃない?」
村に向かう前にハヅキが指摘した。
「では、私は光学迷彩をアクティブにします」
「ああ、うん…。」
ヴェクターのマシンの姿が景色と同化した。
「じゃ、行こっか」
三人は村へ向かった!


「お、おお! 野良戦闘機たちをやっつけてくれたのはあんた達かい!?」
村人たちに歓迎された。割りとみんな大丈夫そうだ。
「あ、あの、ここではああいうのが襲ってくるんですか…?」
すごい爆撃に見えたのだが建物とかも割りと無事だった。
「ああ! ちょっと前からあいつら戦闘機がたまにこのへんで悪さをするんだよ!まったく困ったもんさね!」
「ど、どうしてです…?」
「そりゃあ、腹を空かせて食べ物を漁るんじゃよ」
「(戦闘機が食事を…!?)」
レイルとハヅキは混乱した!
「あんたがたは旅人さんのようじゃな、見たこともない服装じゃのう」
「えーと、つい最近来たばかりなんです」
「そうだ! 貴方達、宿に困っているならこの村に泊まって行きませんか? お礼をしたいのです!」
「そうよ! 泊まっていきなさいな!」
「あ、や、宿なら大丈夫です。」
熱烈な歓迎を食らう!!
「あの、そういえば……あの戦闘機達ってどこから来るんです?」
「それは、あっちの空軍基地の方じゃが……まさか、あんたがた! 奴らを懲らしめてくれると!?」
「(空軍基地!?)」
「う、うん、そのつもりで来ました」
退治を申し出ると村人たちはびっくり!
「な……なんと!それが本当ならば手を貸したい所なのじゃが……」
「うーん、さっきので旅に使えそうな道具がダメになってしまいましたからね…」
「いえ、その、お気持ちだけで私たちは、戦え、ます。」
レイルはそれらしい言葉をひり出した。
「お、おお……なんという……」
「そ、それでは」
村人たちが呆気に取られている間に二人は村より旅立った!!


「空軍基地って……普通に軍隊が悪さしてるのかな?」
「さあ~、なんなんだろう…。」
二人は基地を目指し歩いていた。
「村からだいぶ離れたし、そろそろVTOL呼ぼっか」
「そういえばヴェクターさんは?」
「ここにいます」
ハヅキが声に振り返ると、そのすぐ前でマシンが姿を表した!
「わああ!!」
ので尻餅をついた。
「いきなりそんな近くに出てきたらびっくりするよ…」
「え、あの、今までそんな指摘を受けたことがなかったので…」
「ちょっと」
彼女はろくに外の世界に出たことがないのだ!


「ヴェクター達って、研究所に住んでるんだっけ? もしかしてこう……宇宙にあるとか?」
「はい」
VTOLで目的地にのんびりと向かう途中、レイル達は彼女と話していた。
「もしかしてこういう景色って、そんなに見たことが無かったり?」
広大な自然が広がる景色が窓の外を流れていく。
「……はい、研究所とはまるで違う光景です……。眩しくて……眼を、奪われてしまいます。」
彼女はとても感銘を受けた様子だった。
「……それにしても」
「はい?」
「機内でもそれ乗ったままなの?」
VTOL内でもマシンに入ったまま!!
「これは……いつ何があるかわからないので……」
「何かあるかって言ってもな~そろそろお風呂とか入ったほうが良いんじゃないかな…」
「あの……その問題は、大丈夫です」
「いや~、ほんとに大丈夫?」
降りることを勧められる!!だが!!
「あっ警報」
敵機接近!!野良戦闘機群だ!!
「何かありましたよね?」
「大丈夫だよ、このVTOLなら」
機体に備え付きのレールガンが瞬時に撃墜!!しかも自動だ!
「終わったね、そろそろ近いかな」
「何かありましたよね?」
「え、何?」
「降りなくて良いよねって言ってるんだよっ」
ハヅキが助言!
「あ、そっか。じゃあ問題解決したらお風呂入ろうね」
「……。」


そして、空軍基地に到着!!
「うわーマジで基地だ」
野良戦闘機が次々襲い掛かってくるぞ!!
「これもう野良じゃないよね?」
VTOLに自動迎撃させながら三人は降下!!
「なんか微妙に日本っぽいなぁ……来たは良いけどどうすんのがいいのこれ?」
「あの戦闘機群は意志の無い無人機です。何者かが統制していると考えるのが自然かと」
「うーん、その悪い人を探し出して懲らしめたらいいんだ?」
「でもどこにいんの?」
ヴェクターはマシンの向きを変える。
「あちらの建物の地下からそれらしい反応を感知しました。」
「よし、じゃあ早く片付けちゃお、上うるさいし」
無人の空中戦によって空気が振動し続けていたのだった!


「あっ」
レイルとハヅキは突入後に気がついた。ヴェクターはマシンに乗っているのでドアを通ってこれない。
「抜けらんない?」
「壁面を破壊すれば……」
しかしここでレイルがふと思った!
「そうだ、多分二人で十分だからここで待っててくれない? VTOL危なくなったら怖いし……」
「……了解しました」
「すぐ戻るから!」
二人は施設の地下へと進行を開始した!


施設内は特に敵はおらず!外の戦闘機群のみなのか!?
「たぶんあそこだね!」
明らかに雰囲気の違う地下への階段が存在!!
二人は駆け下りた!!
「う……!?」
その先に広がるのは暗く、広い空間……
そして、黒い存在がいた。
「――――――――――」
其れは、声のような何かを発した!
「あっ、なんかまた黒い奴!?」
「レイル、危ない!!」
「えっ!?」
レイルの背後から黒い手のような物が迫る!!
「わ、ああー!?」
反応しきれず、あっけなく掴まれる!!
その長さが災いし、レールガンは動かすことが出来ず、弾を当てることも出来ない!
「レイル!! 手から電撃を出して!!」
「えっ!? やってみるけど!?」
手に力を込める!すると!!
「わーー出た!!」
その通り電撃が発生!!黒い手を消滅させた!!
「――――――――!」
「うがっ」
レイルは尻から落下し、尻もちを付いた!
「大丈夫!?」
「あ、ありがと!」
ハヅキに抱え起こされ、レールガンを構えた!
「食らえっ!」
「――――――!!!!」
そして発射された弾丸が着弾し、そこを中心として黒い存在は爆散していく、その瞬間……!
「レ……イ――――――!!」
「……!?」
不可思議な声を最期に残し、消えていった……!
「なに、今の……?」
「レイル、速く逃げよう!」
施設全体が揺れている!!崩壊を開始したのだ!!
「う、うん!」
二人は急いで脱出!!


外では戦闘機たちがコントロールを失い、次々ひとりでに墜落!
「……こちらも終わったようです。通信、切ります」
待っているヴェクターは一人呟いた。
「わー!!わー!!」
レイルは大慌てで扉から飛び出る!!
「離れたほうが良さそうだよ!」
「では、私の兵装に捕まってください」
二人はヴェクターのマシンにくっつく!そのまま浮上!
「そういやなんでハヅキ、私が手から電撃出せるって知ってたの?」
「あっ!?……それは、レイルって、なら、出せそう、じゃん?それで咄嗟に言ってみたら結果オーライって!」
「まあ確かに」
空中でのんびり会話!!
そしてそのままVTOLの後部格納庫に入る!
「はあ~……あいつ、なんだったんだろう……」
二人は崩壊していく基地を眺める。
「……。」
ヴェクターは一人、外から見えぬその顔に影を落としていた。


 レイルはヴェクターに対し、黒い存在の事を訪ねた。
「なんか敵を倒すみたいな任務が出て、行くと黒いやつがいるんだけど……さっきのもそうだったし……何か知ってる?」
「……それは暗黒宇宙存在です。私の機体のセンサーにもそう出ていました」
「あんこくうちゅうそんざい?」
「彼らは……自らを『ギ』と名乗っていました」
「……ギって、なんなの?」
 ハヅキは静かに訊いた。
「……人類の敵です。……我々の居るこの並行宇宙をいくつも内包した宇宙は、内宇宙と呼ばれています。」
「内宇宙……。」
 その単語を聞き、レイルの記憶に刻まれた情報が引き出される。
「……外宇宙……!外宇宙からの……敵!」
「そう、内宇宙の外側……外宇宙から彼らは現れるのです。人を滅ぼすために。」
「どうして……?」
「…わかりません。……レイル。貴方は彼らと戦う使命があるのです。」
「それが私の……?」
「貴方が引き金を引いて、終わらせるのです。」
 ヴェクターの声は、覚悟を問うかのような厳格さがあった。
 レイルは今までVTOLから与えられた任務だけをぼんやりとこなしてきた。明確な果たすべき使命や義務など無いのだと思っていた。だが、それがあるのだと突きつけられる。
「わ、私は…まだ……わかんないよ……」
「……。」
 眼を逸らすレイル、ハヅキの顔もどうしてか暗く沈んでいた。
「……まだ、貴方は全ての力を手に入れたわけではありません。焦らなくても……大丈夫です」
「……どうして、ヴェクターはそんなことを知っているの?私の力ってなんなの?どうして私の使命を?」
「……貴方の力は……」
ヴェクターは言い淀む。
「……隊長から、貴方がそういった存在だと聞かされただけなのです。私も……貴方がなんなのか…分からない。ただ、力がまだ開花の途中であると……だけは……。」
「ハービィは……知ってるんだ?」
「……はい。……ですが、貴方自身が自分で気が付くのが、一番良いと。」
「何に?」
「貴方が何者なのか、です」
 レイルは顔を上げる。
「……どうやって?」
「その力が真に目覚めた時に……知ることが出来ると私は聞いています。」
 マシンの装甲が開く、中からヴェクターの生身の姿が現れた。
「あ…初めて出てきた」
「レイル」
 青い瞳の眼差しがレイルにまっすぐと向けられる。
「もし、その為に戦い続けるのなら……力に溺れないでください。」
「え……。」
「正しい事を成すという心を…失くさないでください。」
 ――哀願とすら言っても良かった。彼女はすがりつくようにそう言った。
「う、うん……わかった……よ」
 居た堪れなくなったレイルは目をそらす。だが、確かに胸に刻もうと思った。
「私にはハヅキもいるから……きっと大丈夫だよ」
「ぅ……。」
 名前を呼ばれた彼女は小さく震えた。
「…安心しました。」
 ヴェクターは心の底から安堵した様子を見せる。そして。
「……ところで、問題が解決したら」
「ん?」
「入浴をするんですよね?」
「えっ?」
「入浴をするんですよね?」
「う、うん。入ろっか。あはは……」
「ヴェクターさんってば……」
 彼女はマイペースだった。


「んじゃ、今までありがとー」
「ありがとう! ヴェクターさん!」
夜空の下、二人はヴェクターの前に立っていた!
彼女の同行期間が終わりを迎えたのだ!
「あの……」
彼女はなかなか次の言葉を繋がない。
「どうしたの?」
「……いえ。……また、お会いしましょう」
「へへ、こういうの慣れてないんだ」
「まあ……では。」
マシンが空へ浮かんでいき、やがて空間に歪みを生み出したかと思うと、その中へと消えていった。
「今度はいつ会えるかな、ヴェクター」
「……そうだね、また会いたいよね……」
……どうしてか、ハヅキの返事には力がなかった。


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レイル
ヴェクターが風呂に「一緒に入らないんですか?」と言ってきて焦った。
ハヅキ
最近割りと元気が無い。
ヴェクター
どうもお風呂には皆で入る習慣らしい。
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プロフィール

HN:
Rark
職業:
女子高生
自己紹介:
ここに来るならばもう分かっているのではないか!?

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